インコプフ

自己承認欲求と作文欲求の結晶

12時間の小旅




インターチェンジの近くの駅まで電車で行く。
そこからすこし歩いて通りに出る。
そしてそこで看板を掲げる。


去年の9月に同じ場所でやっていたときは、開始5分くらいでじいちゃんばあちゃんの車が止まってくれた。彼らは高速には乗らないのでインターの前で降ろしてくれた。

そんなにうまくはいかないと思いつつも、そんなイメージで立つ。

しかし一向に車は止まらない。

その前にそもそも車が通らない。


思えばきょうは、世間では平日だったんだなと思いながら仕方なく歩き出す。


インターまで3キロ。これなら問題ないとGooglemapで検索しながら歩く。

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歩く。

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歩く。


ほとんど誰にも会わない代わりに蜘蛛の巣には引っかかるような道ばかりだった。


30分以上かかったので、これなら待ってたら一台くらいつかまえられてたかなという思いもよぎった。



なにはともあれ着いたインター前も、懐かしい光景。

500mlのペットボトルの中身とiPhoneの充電は半分になってしまったけど、ここまで来たらという自信はあった。

立ち続けて断られたとしても、歩くよりはマシだ、とも思えた。


しかしそうは甘くなかった。


なにしろ車が来ないのだ。


ここを使うのは東京方面行きの車ばかりだよ。という、前にここから運んでいただいた方に言われた言葉が何度も頭をよぎった。






そんななか、一時間経った頃か、背後から声をかけられた。

『ここは高速道路と同じ扱いで危ないから、ここではヒッチハイクをしないでくれるかな、ごめんね。』



おー…





だが、時間はまだ11時。

諦めるにはまだ早い。




と、気を取り直しすこし離れた位置で再開。


だけど、そこはどうみても車が止まるスペースがない。それでも続ける続ける。



インターに着いてから1時間半経った頃、ついに開き直りが顔を出してきた。


こうなったらこっちからいくしかない。と


インター前の赤信号で停車中の運転手さんに直接交渉する。


『うん、いいよ。でも、東京方面だよ。』


『それでいいです』



目的はどこえやら、とにかく高速道路に乗りたかったので逆方向でもお願いをする。



そしたら、乗せてもらったのもつかの間、

『実は母親が死んじゃっていま急いで地元に帰ってるんだ。』




おー…

おー……




申し訳なさで縮みあがった。

それでもその方は気さくにお話ししてくれて、おれはナビをして、楽しく逆走。
最後にはお小遣いまでいただき、さらに縮みあがる。
ありがたかったです。


そんなわけで、もちろん途中で降ろしてもらうとかせず、その方の目的地まで来て高速道路を降りた。

自分の出発地をおおきく過ぎての逆方向への帰着だった。




以上が、本日ヒッチハイクを始めてから約三時間半の間の出来事でした。








そこから予備で持っておいた青春18切符を使っていまは、静岡県熱海市にいます。


電車は、なんて快適で確実なのでしょう。





きっと、インターの前で赤信号で停車中の運転手さんにはなしをかけずにまた歩いて駅まで帰っていたら、敗北感や失望感や後悔に苛まれながら電車に揺られていたことと思います。


でも、自分から声をかけて、そんな自分なんかどうでもないくらいに深刻な中にいる方とおはなしをさせてもらえて、自分にとっては、それでよかったのだと思いながら太平洋を眺めることができました。




名古屋までまだまだ電車の旅は続きますが、やっぱりこの、知らぬ土地をぼーっと眺めるのはいいもんだとぼーっと思いながらもうすこし時を過ごしたいと思います。





では、