インコプフ

自己承認欲求と作文欲求の結晶

週刊 持論 ーONE PIECEの偉業ー

毎週土曜日に更新される『週刊 持論』 

 

 

ONE PIECE人気はとまるところを知らない。

きょう発売の76巻などは、

コミック用の特別なビニール袋が用意されていたくらい。

 

 

ONE PIECE 76 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 76 (ジャンプコミックス)

 

 

 

ただ、その爆発的人気とは裏腹に、

往年のファンからは、ここのところ密かに失望の声がささやかれている。

 

かくいう自分も、ドレスローザ編に入ってからというものの、

少し今までとは違った感覚を味わっていた。

帰国後に、留学中にたまっていた三巻分を連続で読んだときも

想像を上回る感動はなかった。

 

きょうはその違和感の解決が果たされた記念として書いていきたい。

 

 

 

 

 

ONE PIECEの偉業

 

 

 

 

 

まずは違和感を、「これはいままでの展開と比べたらつまんないなあ」

と感じるようになった原因を、思いつく限りで並べる。

 

・焦点が麦わらの一味以外

・遅々とした展開

・同時進行で複雑な内容

・登場人物が多様過ぎ

・明かされる謎  ...

 

 

これは本日発売の76巻でも言えることかなとおもう。

 

 

 

 

なぜこのように感じるのか。

またここから失望に至るのか。

 

結論としては、ONE PIECEがただの少年漫画から次の次元へ移行しようとしているからであり、

その変化に自分たちが付いていけていない、または拒絶しているからなのだと考えた。

 

 

 

 

 

 

おもえばいままではとてもシンプルに物語が進行していた。

そしてそれは、全て主人公であるルフィとその仲間(になる人物(動物))を通して語られていた。

 

またその内容も、一部例外はあるものの基本的には海賊からの目線。

 

 

それが徐々に、シャボンディ諸島での麦わら海賊団離散をきっかけに変わっていった。

 

 

 

非常に多様な問題の見方の提供に。

 

 

一方通行な見方ではなく、多様な考え方を示すためには、

その考え方の数だけ登場人物が必要であり、

またそのように考えるようになった歴史が必要。

 

そうなれば、登場人物が多くなることも

それによって本来真ん中にいたはずの麦わら一味の影が薄くなることも、

主張が見えにくくなることも起こり、

最終的には複雑な様相を呈しはじめて展開は遅れるということになるだろう。

 

 

もともとONE PIECEという漫画はそういう社会問題を真っ正面から捉える向きがあったが、

魚人島の話しから(あれは一味にも関係ないし、無理矢理感があった。)顕著になりはじめて

今回の藤虎の考え方ではっきりした。

 

 

 

王下七武海を恐れるもの、挑戦するもの、憧れるものに利用するもの

それを作ったもの、壊そうとするもの、

被害を受けたものと加えたもの。

 

天竜人に被害を与えられたものの視点を存分に出しつつ、

その被害者の復讐まで表現する。

 

悪いものを倒すという単純な「正義」をも否定する。

 

 

同時進行されているそれぞれの物語は、

すべてそういった多様な視点を描くためにある。

 

これは、他の少年漫画にも共通する

いままでの「強敵に勝ったり負けたりして成長する主人公」的な展開からの

発展を試みた結果だと言えるかもしれません。

 

 

まさに偉業。

 

 

それゆえに、ただただ楽しむだけのスタンスでは、付いていけなくなるかもしれない。

特にはじめからのファンは、読み方の変化も問われているのだ。

 

そしてなによりも、問いかけられた問題に、真剣に向き合う必要すらもあるのかもしれないのだ。

 

 

 

 

 

 

ルフィが悪者になるときも来るのだろうか。